おもちゃ病院 修理のヒント 

おもちゃを修理に出したい方はおもちゃ病院のホームページに開院情報があります。


「はじめてのえいごえほんABC」の(一部のスイッチが反応しない)の修理

音の出る絵本です。

音の出る部分。

      

反応しないスイッチは 

F-Kの行全部、L-Qの行全部、R-Wの行全部です。 

 

分解します。

文字表示版とキーは乗せてあるだけで、接着なしでした。

  

修理完了後。

回路を切断して接続してます。(四か所) 詳細図、細い銅線をカーボンで接着固定

 

なんで、こんな事になってしまったのか。

トラブルのあった部分は縦の回路と横の回路が準ショート状態でした。

抵抗値で5KΩ程度。

使用されている回路はスイッチONの時にゼロΩでなくても、ONと判定していました。

 

回路が交差している部分の模式図です。

実際の回路及び絶縁膜の厚さは10〜20ミクロン(0.01〜0.02mm)です。

 

回路間の絶縁が徐々に悪くなり絶縁不良になったようです。

同じ縦のラインで生じているので、このラインの絶縁膜が薄かったのか?

 

絶縁が劣化している場所を特定できたので、

横の回路を切り離して、回路を迂回させました。

 

どうやって見つけたのか

反応のないスイッチは一行全部なので、共通ラインの導通を確認します。

6行のラインは基板に印刷されている1〜6に対応していました。

問題のある2から4に対して、

基板の根元のシートの絶縁膜のない部分と各スイッチ間の導通を順に確認します。

全て問題なしでした。

 

キーボードフィルムと基板間の導通不良を良くするために、

フィルの下に厚手の紙を敷くも改善ぜず。

基板に細い線をハンダ付けし、フィルム側をカーボンで接着固定するもNG。

 

基板を装着して、電圧を確認しました。

正常な行1、5、6は2.7Vでしたが、反応しない行2、3、4はゼロボルトでした。

スイッチを押すとその行はゼロボルトになるので、

行2、3、4は既にスイッチが押されている状態になっている事になります。

 

各スイッチの導通を調べます。

基板の根元の2とF〜Kまでのスイッチの導通を順に測っていきます。

Hスイッチの導通が5KΩ位。

F、G、I〜Kはメグオーム(MΩ)以上。

Hの所で切断すると、I〜Kが正常に反応しました。

F〜Hは繋がってますので、このままでは反応しません。

細い線とカーボンで接続してF〜Kが正常に反応するようになりました。

 

同様にNとTの導通が5KΩ位でした。

切断して、細い線とカーボンで接続して修理完了です。

 

カーボン接点の場合は数十KΩであれば、オンと判断されます。

電圧でスイッチをチェックする事が必要な場合もあります。


戻る