おもちゃ病院 修理のヒント
おもちゃを修理に出したい方はおもちゃ病院のホームページに開院情報があります。
ケースを開ける前に、AM受信機等でアンテナから電波が出ていないか確認します。
電波が出ていなければ、まず電池電圧をチェックします。
出来れば送信機側の電池端子にテスター棒を当てて下さい。
電源スイッチをONした時に電圧が2V以上低下するようなら電池を交換します。
ほとんどの機種が、左/右等の操作をしないと電波が出ませんので注意して下さい。
ここまで正常ならケースを開けますが、ここからは電子回路の話になります。
ラジコン専用ICが良く使われています。
ほとんどがDIPタイプで、送受がペアになっており、
TX2(送信)-RX2(受信)、SCTX2B-RX2FS、SCTX2B-SDRX2BD
と言う組み合わせで使用されています。
その他に高周波の発振、変調、増幅等の目的にトランジスターが1−3個使われています。
TX2-RX2のスペックシートの後の方に描いてある回路例を抜粋しました。
ピン番号3がGND(アース)、9がVDD(電源)となっているので、電圧を確認します、3から5VであればOKです。
ピン番号1、4、5、6、14にスイッチの記号が付いていますが、各スティックに対応しています。
1番:RIGHTB、右。4番:BACKWARDB、バック。5番:FORWARDB、前進。6番:TURBOB、ターボ。14番:LEFTB、左。
ですので、各スティックを動かして、各ピンにテスターを当て電圧変化でオンオフ動作をする事を確認します。
6番:ターボはほとんど使用されていません。
ICからのパルス列が出ているかどうかを、8番ピンに専用冶具を当てて検査します。
前進/後進、左/右、の各スティックを動かして、変調音が出て、変化すればOKです。
ここまでOKならば、ICは生きています。
これでも、電波がでないのであれば、ICをチェックします。
ICの10番ピンでパワーコントロール(PC)が出来ます。
このピンにトランジスターがつながっているなら、この機能を使っています。
スティックを操作した時に9番ピンと同じ電圧になっている事を確認して下さい。
つながっていなければ、色々な方法でパワーコントロールをしています。
これはダイオードを使ったAND回路+送信制御回路の概念図です。
D1-D4でAND回路を構成しています。
下図のRIGHT‐BACKはICの相当するピンにつながっています。
Q1のコレクターの電圧が変化するかどうか、各スティックを左/右、前/後に倒して
確認します。ここはスイッチング回路ですので、HighかLowしかありません。
NGならQ1コレクター → Q1ベース → R1 と見て行ってください。
こんな回路もあります。
左右、前後のコントロールスイッチが電源スイッチを兼ねています。
コントロールを始めると全部の回路が働き、何もしないと全回路がオフになります。
電子回路のGNDは図のダイオードとスイッチを経由して電池のマイナスにつながっています。
ここまでOKなら、いよいよ高周波回路になります。
これが典型的な回路です。
トランジスターの電圧を測定し、正常かどうか比較します。
エミッター | コレクター | ベース | |
Q 1 | 回路による | (電源電圧−2V)以上 | エミッター電圧+0.2V以上 |
Q 2 | 回路による | (電源電圧−2V)以上 | エミッター電圧+0.2V以上 |
OKであれば、全てのコイル、抵抗器の抵抗値をテスターで測定し、断線していないかどうか確認する。
それ以外の部品については、不自然に汚れた部品、煤けた部品があれば交換する。
イモ半田、半田はがれ、印刷回路の断線等を念入りにチェックして下さい。
これ以上のチェックは100MHzのオシロがないと出来ません。